今年も暑い日が続きましたが、夏休みの帰省で、家内の実家のある暑い盆地の奈良に行ってきました。  毎回帰る度に奈良の寺院に行ったりするのだが、今年は、以前に少ししか訪れことができなかった、ミステリーに満ちた古墳、石造物のある飛鳥(明日香)を巡りました。

朝10:00頃近鉄飛鳥駅に着き、駅前にあるレンタルサイクルで自転車を借り巡りました。暑いし、地図で見るより距離も感じましたが、思ったほど坂道もなく、1日で巡るには自転車が最適でした。(電動自転車もありました。)
明日香村には飛鳥時代(592年~710年)の遺跡や寺がたくさんあります。
いまから1400年~1300年前の飛鳥時代は日本の始まりであり、国名も倭から日本に変わった時代で、古墳時代からのものがありますが、石造物などもたくさんあります。それらは いつ、なぜ建てられたのか、誰のためなのか、どういう意味があるのかなど不明な点が多いのです。

巡った順番で写真を並べていきます。

猿石
吉備姫王墓内にある奇石4体。僧以外は像の背面にも顔が彫られている二面石。
年代や制作理由も不明です。
欽明天皇陵南の田から掘り出されたものが、その後吉備姫王墓前に移されました。
4体はその特徴から僧、男性、女性、山王権現の名前がついています。


吉備姫王墓


手前:僧, 奥:男


手前:山王権現, 奥:女

高松塚古墳
高松塚古墳は昭和47年に彩色された壁画見つかり当時話題となりました。もちろん壁画は国宝です。
7世紀末から8世紀初頭にかけて築造された古墳です。誰のものかは特定されていません。
高松塚壁画館には復元された絵が展示されています。現在高松塚古墳壁画は別の所で修復されいるそうですが、カビがでたりして、修復は大変みたいです。

キトラ古墳
高松塚古墳と同じ7世紀末から8世紀初頭にかけて築造された古墳です。


キトラ古墳石室 原寸復元

高松塚古墳石室も同じですが、石室内は陰陽五行思想によって、絵が描かれています。
四周の壁面は天の四方を司る神獣、四神が描かれています。東:青龍 西:白虎 南:朱雀 北:玄武また各壁面の神獣の下には3体ずつ十二支が描かれており、天井は太陽がと月が表されています。

キトラ古墳壁画は令和元年7月23日 国宝に指定され、朱雀が特別公開されていました。現物を見ましたが、はがされた漆喰の薄い皮に彩色された朱雀でした、1400年前の絵が残っていて、それを今見ているという不思議な感じでした。現物の写真はとれませんでした。
以下は展示されていたパネルです。

四神(四方を司る神獣)
各神には方位、色、地勢、季節の意味が含まれています。


朱雀 方位:南 色:朱 地勢:沼 季節:夏


白虎   方位:西 色:白 地勢:道 季節:秋


玄武  方位:北 色:黒 地勢:山 季節:冬


青龍 方位:東 色:青 地勢:川 季節:春

 

鬼の雪隠(せっちん)・鬼のまないた
田んぼのあるのどかな場所にあります。雪隠とは石室の蓋石にあたる部分でトイレという意味です。また、まな板は石室の底板にあたる部分です。

鬼の雪隠(せっちん)


鬼のまないた

伝説:この周辺は霧ケ峰と呼ばれ、鬼が住み、通行人に霧を降らせ、迷ったところを捕えて、まな板の上で料理し、雪隠で用をたした。

亀石
ユーモラスで今回一番見たかった。石造である。
いつ、何の目的で置かれたわからないが、川原寺の四方の境界を示す標石ではないかという説がある。

伝説:むかし大和が湖であったころ湖の対岸の当麻とここ川原の間に争いがあった、湖の水を当麻に取られ、湖に住んでいた亀がたくさん死んでしまい、哀れに思った村人が亀の形を石に刻んで供養した。今は亀は南西を向いているが、元々は北側を向いていて、ジリジリと動いている。もし西を向き当麻をにらみつけたら大和盆地(奈良盆地)は泥沼になる。

橘寺・二面石
橘寺は寺院の近くで聖徳太子が誕生したという伝説があり、太子ゆかりのお寺です。二面石は橘寺の境内にある石の彫刻で、右に善、左に悪が彫られ、人間の二面性を表しているそうです。

石舞台古墳
30数個の巨石から作られており、全長は約19メートル。玄室の高さは7.7メートル、幅3.4メートル、高さは4.8メートル。蘇我馬子(551年〜626年)の墓である可能性が高いといわれています。
元々は普通の古墳と同じように土が石の上にかぶさっている状態だったのそうですが、風雨によって土が流されて現在の姿になったそうです

石の素朴で壮大な感じがいいです。

岡寺
本尊は天平時代作で女性の厄除け観音として信仰を集めている如意輪観音坐像(重要文化財)。像高4.6mでわが国最大の塑像です。

酒船石
竹林の山の中に不思議な溝を掘った石が、普通に違和感なく置いてありますが、何故ここに、なんとために、いろいろな人が想像していろいろな諸説があります。わからないから、壮大な想像する、古代ミステリーにロマンを感じます。手塚治虫の漫画「三つ目がとおる」にもでてきています。

諸説
・大和地方の各史跡との位置関係を、表している。
・酒船石の図形は、カッバーラ(陰陽道)のある図形を示している
・天文観測に使用されていた
・近くに水を引いたと見られる土管や石の樋も見つかっていることから庭園の施設
・犠牲の血を流す台
・お酒をしぼるのに使った
・薬を使うのに使った
・水を流し、この水に何かを浮かべて、その浮かべたものが最後にどの窪みに流れ込むかで何らかの占いや祭祀を行った


古代人(三つ目族)が家来を服従させるための薬の精製器具である(漫画 三つ目がとおる 手塚治虫 説)

飛鳥寺
蘇我馬子により、596年に創建された日本最初の本格的な寺院、仏像は年代のわかる現存の仏像では日本最古のものと言われています。

この寺を中心に天皇の住居もあった、また中国や朝鮮との国際交流によって学問や芸術が盛んに行われ、日本で初の首都として、飛鳥文化が栄えた。文明国家として日本の原点のお寺です。

 

今年の夏 訪れた飛鳥(明日香)は 大陸からの文化を取り入れ、日本の繊細さや、緻密さを加え、新しい文化を作った中心の場所であった。
しかし、不思議なことに 昔、日本の中心であったことは、豊かな田園が広がっているだけで、少しも感じられない、ただ田園の稲を揺らす穏やかな風が吹いているだけである.
今後、発掘調査が進み、全貌が明らかになり、伝説や諸説が解明されるのを楽しみにしている。