世界に冠たる自由主義国である我が日本国において、個人の自由が束縛されている行為がある。それは未だに個人が趣味で行う、少量の酒造りを「酒税法」の基に禁じている事である。かつて、米の国日本の各地に、食文化の一環としてドブロク文化があった。日清日露戦争の戦費調達の為に創った「酒税法」により禁じられ、個人の自由が回復されていない。平成の御代における日本文化への回帰として、神代の昔から許されてきた自由の獲得の為に・・・・・前置きはこのぐらいにして、世界に誇れる日本文化の一つを紹介する。

そろえておきたい主な道具から紹介。

     自動酒燗器 

蒸した米や麹を入れて「高温糖化」という技法で「酒母」(甘酒の)をつくる。

     和せいろ

2升近くの米を蒸せる昔風の木製がよろしい。

     ほうろう製の漬け物容器

「向原杜氏」は予算の関係上ポリバケツ(10・20リットル)を使用。

陶器のかめがあったら最高に気分が高揚すると思われる。

     広口のガラスビン

酒母つくりに使う。1リットル程度で十分。

     その他

調理計り・計量カップ(1リットル計量可能)・温度計(1~100度 蒸し米・もろみの温度計測)・ひしゃく・ざる

 

材料 10リットルの容器で仕込める量

     米 1.8キログラム(うち酒母づくりに100グラム)銘柄だが酒米の代表銘柄「山田錦」等は入手困難。向原杜氏はヒトメボレ、アキタコマチをよく使う。

     水(1リットル5~6本) 自然水「白州の天然水」「六甲のおいしい水」を仕込み水として使う。

     生の米麹(660gうち酒母づくりに60g) 杜氏は横浜市瀬谷区にある,近隣では唯一の麹屋さん。

川口糀店の「せやこうじ」を使う。けっして「どぶろく」をつくると言って購入しないこと、あくまでも甘酒用です。ちなみに連絡先 住所 横浜市瀬谷区竹村町24-6 045-301-0036

     手づくり用ヨーグルト種菌 1グラム MEITO ヨーグルト種菌(1g×6包入り)

     パン用生イースト 大さじ一杯またはドライイースト3g

 

ドブロクの仕込み方

     酒母用の米をあらって、水に浸す

酒母用の米100gをよく水洗いし、水に浸してたっぷりと水を吸わせる。水温10度

17,8度で10~12時間。水温により浸しておく時間を調節する。

     米をざるに上げ、蒸し器で蒸す

20分程度水切りをする。米が少量なのでやかん等で蒸す。蒸し時間は30~1時間程度。蒸し具合をチェックする方法として、熱い蒸し米をひとつまみ取り、擂り粉木で、つぶし餅状にする。蒸しが完全なら均質な「ひねりもち」になる。

     酒母用に麹を使い、高温で蒸し米を溶かす。

自動酒燗器においしい水を240ml入れ、熱燗にセットし、約60度にする。②で蒸した蒸し米と麹60gをよくかき混ぜて、12時間程温度を保つ。時々攪拌しないと酒燗器の底で焦げ付くことがよくある。麹の糖化力で蒸し米が溶け始め、ドロドロ状態の普通より甘い、甘酒状になる。

     酒母を乳酸発酵させる

12時間後、自動酒燗器をぬる燗にセットしなおし、42度ぐらいまで温度を下げ、手づくり用ヨーグルト菌一包入れ、24時間そのままにしておく。乳酸は雑菌の繁殖を押さえる作用をする。

     酵母を増殖させて酒母を完成する

  ドロドロ状態の酒母を、広口ビンに移し替え、生イーストを大さじ一杯、またはドライイースト3gを加える。生イーストは発酵力が強いので、すぐに発酵が始まる。発酵が始まると炭酸ガスが発生するので、ビンの蓋はしないこと。フキンをかぶせておく。これでドブロクの素の完成。p30400204

     もろみ用の米を洗って水に浸しておく

もろみづくりにかかる。白米1.7㎏を計り、よく洗っておいしい水に浸しておく。

浸す時間は酒母と同じ。

     米を蒸す

十分に水切りをして和せいろで蒸す。せいろに蒸し布もしくはフキンを敷き、米を入れる。中央部を窪ませ、蒸気の通りを良くし、強火で蒸し上げる。蒸し上がりの確認は、やはり「ひねりもち」をつくってみればわかる。

     蒸し米を冷やす

バットあるいはざる等に蒸し米を広げ、かき混ぜながら30度ぐらいまで冷ます。

     ドブロクを仕込み、発酵させて完成

  かめ、ポリバケツをよく洗い、熱湯消毒してこれに酒母、おいしい水3.2リットル  冷ました蒸し米、米麹600gを加えて、よくかき混ぜる。仕込んだ初日は蒸し米と麹が、おいしい水を全部吸い込み、容器いっぱいに膨れあがる。ひしゃくで押しこみかき混ぜる。すぐに発酵が始まる。仕込みから4~5日間は盛んに発酵する。

  プップッという、炭酸ガスのはじける音を聞いているだけで楽しくなる。

一週間も経つと、いい匂いがしてくる。三週間も経てば待望のドブロクの完成である。

もろみと一緒に飲むのが普通であるが、一手間かけて手製の酒袋に、もろみを汲んでしぼれば、極上の「にごり生原酒」の誕生となる。アルコール度数は20度近くになる。

酔いも早いが、市販の日本酒に入っている酸化防止剤の類が、一切入っていないので悪酔いが無い。以上、誰が挑戦しても失敗しない、うまいドブロクのつくり方の紹介終わり。

最後に当局へ酒税を払ってでもつくりたいものであると思う。飲めば実感。

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参考文献 日曜日の遊び方 酒をつくる 山田陽一 著 (株)雄鶏社